ダンディ男バニーの飼育日記

YouTubeで誰にも相手にされない【ラジオ好き】若者2人(♂)の飼育日記です。YouTube生配信は毎週水曜日、おおよそ21:30~!!

【忙】について、思うこと。

どうも、
ご無沙汰しています、ダンディ男バニーの乳豚(にゅうとん)です。

「心を亡くすと書いて、【忙】」

駅のホームほどアットホームじゃないホームはない。

約一か月ぶりの更新となりました。

言い訳させてください、仕事で忙しかったのです。

会社員に転生して早2か月、
年度末ということもあり2023年3月は忙しかった…。
忙し過ぎて何が大変だったかさえ、今は記憶がおぼろげであります。

仕事場が期間限定で変更となり、自宅から往復4時間。
日の出前に出かけて、終電前に帰宅。
気を失うかのように布団へ倒れこみ、
携帯電話のアラーム音で目を覚ます。
的確に目を覚ましに来るアラーム音と、
アラーム音を制作して設定した人のことが嫌いになった。

日課であった”ラジオごっこ”も出来ず、
ライフワークであった書き物さえもできなくなった。

辛いはずの時間があっという間に過ぎていく。
あまりに”あっという間”で、得体のしれない焦燥感まで感じ始め、
ストレスに拍車をかけていく。

ある朝、自宅の最寄り駅で通勤電車を待っていると
異変があった。
電車が来ない。
時間通りに来るはずの電車が1分、3分、5分…と一向に姿を見せない。
ホームに電車は来ないが、スーツを着た通勤者たちはゾロゾロと増えていく。
なんとなく変だよねぇ…という雰囲気が蔓延した頃、アナウンスが流れた。

「線路に人が立ち入ったという情報があり現在、安全確認を行っております」

僕を含めてスーツを着た人たちはスマホを弄っている。
その数分後、再びアナウンスが流れた。

「人身事故が発生したため…」

一斉に電話をかけ始めるスーツを着た人たち。
僕も上司へメールを送った。

振替運行を利用するためバス乗り場へ、すぐ移動する人。
ホームのベンチで仮眠を始める人。

駅のアナウンスから推測するに、
僕たちがいる駅から1kmも満たない位置で人が木端微塵となった。
なんなら、僕たちが乗ろうとしていた電車で起きた惨劇でもある。
東京に住んで5年、「人身事故」という言葉はよく耳にしていた。
しかし、ここまで身近に「人身事故」を感じたのは初めてだった。

さて、そんな僕はホームの端、
朝日が差し込む場所を見つけて日向ぼっこをしていた。
日の出直後の肌寒い時間で見つけたオアシスみたいだった。

「…運行再開は1時間後の見込みです。」

絶対に良くないのだが、
少しホッとしている自分がいた。
絶対に間違っているのだが、
1時間はなにも考えなくていい時間を貰えたと思ってしまった。

太陽の位置は少しずつ高くなる。

ふと、もの思いに更けていると
「どうして人は電車に飛び込むのだろう」という疑問が浮かんだ。

日本の通勤電車は四角い。
もちろん走っている電車に飛び込めば死んでしまうのだろうが、
イマイチその電車で自分が死んでしまうイメージが湧かない。
車輪に巻き込まれて死ぬことも考えてみた。
確かにめちゃめちゃ痛そうだが、
それで即死か?…とイメージがどうしても湧かない。
もちろん、僕は事故現場を見たことが無いのでイメージが湧くはずもないのだが、
それでも不思議で仕方がなかった。
あの鉄の立方体ごときに人間の体をバラバラにすることができるのか?
そんな不確かなものに自分の命の最期を懸けていいものなのか?

「…まもなく電車がまいります」

太陽はかなり高い位置まで移動していた。
コートの中ではうっすら汗をかいていた。

ホームの端に立つ僕に目がけるように
四角い電車が走ってくる。
気が付くと僕はホームからのぞき込むように電車を待っていた。

「車輪、重そうだな、痛そうだな。」

そう思った僕は、たまたまそのまま来た電車に乗車して仕事場へ向かった。

今思えば、
あの瞬間、
僕を含めて多くの人が心を亡くしていたのだと思う。

年度末の繁忙期を凌いで、
いま僕はは少し落ち着いたペースで暮らしている。
世の中には僕より忙しくて大変な人はたくさんいる。
もっとも僕は日本の忙しいランキングで言えば下から数えたほうが早いランクだろう。

子どもの頃から”うすうす”変だよなぁと思うことがある。
何が”うすうす”変なのかは分からない。
分かっているのかもしれないけど、輪郭が見えなくて見えてないフリをしているだけかもしれない。

1時間遅れの通勤電車の中で、来年の年度末、春が少し怖くなった。
苦手だった桜の花が知らないうちに散り始めていて、少しだけ寂しさを感じました。

文責:乳豚

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